令和2年度税制改正大綱の中から、「居住用賃貸建物の消費税還付スキーム封じ」に関して紹介させていただきます。消費税は、売上に伴い預かった消費税から仕入れ等に伴い支払った消費税を控除した金額を税務署へ納付又は還付を受けることになります。ただし、仕入れ等に伴い消費税の支払いをしたとしても、その支出が非課税売上を獲得するためのものについては消費税が控除できないという規定があります。
その為、本来は居住用賃貸物件を取得しても消費税は控除できないのですが、下記の例の様にむりやり課税売上高を作り出し、居住用建物の取得に係る消費税の還付を受けるスキームが存在していました。
<例> 居住用建物を1億円で購入(消費税1,000万円)、
年間の家賃収入は1,000万円(非課税売上)
<本来> 課税売上がないため、消費税の還付はなし(納付もなし)
<還付スキーム>
金(きん)地金(じがね)を10億円購入し(消費税1億円)、
10億円で売却(課税売上 消費税1億円)
① 売上で預かった消費税1億円
② 仕入経費等で支払った消費税
建物1,000万円+金(きん)地金(じがね)1億円=1億1,000万円
③ ①-②=△1,000万円 → 1,000万円の消費税還付
今回の改正で、居住用賃貸建物の取得に係る消費税の還付ができなくなります。
つまり、むりやり課税売上高を作り出しても、1,000万円の還付が受けられなくなります。
ちなみに、令和2年10月1日以後に購入した居住用賃貸建物(令和2年3月31日までに締結した契約を除く)から適用されます。